- グリストラップの設置費用が高い
- グリストラップの種類や選び方がわからない
- グリストラップの設置工事の流れや注意点がわからない
飲食店や食品加工工場の運営には、グリストラップ設備の設置が必要不可欠です。しかし、グリストラップの費用や設置方法に関する情報は少ないため、導入できていない事業者が多いです。
本記事では、グリストラップの種類と設置費用、設置する際の注意点や費用を抑えるポイントなどを解説します。本記事を読むことでグリストラップに関する疑問が解消し、自社に最適なグリストラップを選べます。
【種類別】グリストラップ設置費用の相場
グリストラップの設置費用は、種類や設置場所によって異なり、グリストラップの種類は、次のとおりです。
- 屋内床置き型
- 屋内埋設型
- 屋外埋設型
グリストラップの設置費用は、材質や容量、施工の難易度によっても費用が変わります。設置費用は本体価格の30〜50%程度が目安です。店舗の規模や予算に合わせて選択しましょう。
屋内床置き型
屋内床置き型のグリストラップは、飲食店の厨房内に直接設置できる便利なタイプです。比較的設置が簡単で、工事費用を抑えられるメリットがあります。容量は小〜中規模で清掃やメンテナンスが容易ですが、設置スペースと臭気対策が必要です。
材質はステンレスやFRP(繊維強化プラスチック)が一般的で、屋外埋設型に比べて耐久性は劣ります。小規模飲食店や厨房の設置に適しているため、多くの店舗で採用されています。
価格は10〜50万円程度と、比較的手頃で設置工事も簡単で、専門業者に依頼せずに自分で設置も可能です。ただし、設置位置や排水経路の確保など専門知識が必要な部分もあるので、初めての場合は専門家に相談しましょう。
屋内埋設型
屋内埋設型のグリストラップは、床下に埋め込むタイプの設備です。床面を掘り下げて設置するため、店舗の美観を損なわず、スペースを有効活用できます。床面と同じ高さになるため、つまずく心配がなく、店舗の見た目を損なわずに大容量のものが設置できます。
屋内埋設型グリストラップの設置費用は、床下の配管工事が必要なため30〜100万円程度です。工事期間も長くなるため、既存店舗への導入は難しく、点検時などには床面を開ける必要があるため、漏水リスクに注意が必要です。
設置後の変更や移動が難しいため、屋内埋設型のグリストラップは新規店舗の開店時や大規模な改装時に検討しましょう。長期的な使用を前提とし、店舗の雰囲気を重視する場合におすすめです。
屋外埋設型
屋外埋設型グリストラップは、大型の飲食店や食品工場向けで、屋外の地下に埋設します。容量が1000L以上の大容量で、耐久性が高く長期使用が可能です。メンテナンスのためのアクセスが比較的容易です。
工事費用が高くなるため、設置費用は50〜200万円程度と高額になる傾向があります。屋外埋設型グリストラップを設置する際は、臭気対策や凍結防止対策、地域の条例や規制への対応に注意が必要です。
グリストラップ設置の際に考慮するべきポイント
グリストラップ設置の際に考慮するポイントは、次のとおりです。
- 飲食店の規模
- メンテナンスのしやすさ
- 環境への配慮
各項目を考慮することで、グリストラップの効果的な設置ができます。
飲食店の規模
グリストラップの設置を検討する際に重要な要素として、飲食店の規模があります。飲食店の規模の分類は、次のとおりです。
店舗規模 | 客席数の目安 |
小規模店舗 | 客席数30席未満 |
中規模店舗 | 客席数30~100席 |
大規模店舗 | 客席数100席以上 |
席数だけでなく厨房の広さと設備の数、1日の平均客数や提供する料理の種類と量、営業時間の長さ、調理方法もグリストラップの選択に影響します。
例えば、油を多く使用する料理の提供がある店舗では、より大きな容量のグリストラップが必要になります。チェーン店や複数店舗展開している場合は、各店舗の特性に合わせて個別に検討しましょう。適切なグリストラップの選択と設置により、環境保護と店舗の円滑な運営が可能です。
» グリストラップの適切なサイズの選び方と法規制の対応を解説!
メンテナンスのしやすさ
グリストラップのメンテナンスのしやすさは、飲食店の衛生管理と効率的な運営に影響します。メンテナンスが行いやすいグリストラップを選ぶことで、日々の清掃作業が簡単になり、長期的なコスト削減につながります。メンテナンスのしやすいグリストラップの特徴は、次のとおりです。
- アクセスしやすい場所に設置してある
- 十分な清掃スペースが確保されている
- 蓋の開閉が簡単にできる
- 内部状態が確認しやすい状態である
- 部品が取り外しできる
メンテナンスしやすいグリストラップを選ぶことで、日々の清掃作業が効率的に行えます。衛生面での安全性が高まり、悪臭の発生も防げます。定期的なメンテナンスも簡単になるため、プロの業者に依頼する頻度を減らすことが可能です。
環境への配慮
環境に優しいグリストラップを選ぶことで、地球環境の保護に貢献できます。環境に配慮したグリストラップの特徴は、次のとおりです。
- 環境負荷の少ない素材を使用している
- 省エネ設計になっている
- 排水処理効率が高くなっている
- リサイクル可能部品を使用している
- 長寿命設計になっている
各特徴を持つグリストラップを選ぶことで、環境への負荷を軽減できます。環境への配慮は、グリストラップ本体だけでなく、使用方法も大切です。環境に配慮した洗剤の使用や雨水利用システムとの連携、廃油リサイクルシステムの導入が環境に優しい使用方法です。
グリストラップの選択と使用方法の両面から配慮することで、環境保護につながります。
グリストラップ設置費用を抑えるポイント
グリストラップの設置費用を抑えるポイントは、次のとおりです。
- 設置工事費用の内訳
- 見積もりを取得する際のポイント
- 費用を抑えるためのコツ
- 補助金や助成金の活用
DIYで対応できる部分は自分で行うことや既存の設備を活用することで、設置費用を抑えられます。
設置工事費用の内訳
グリストラップの主な設置工事費用の構成は、次のとおりです。
- 材料費
- 労務費
- 重機レンタル費
- 掘削費
- 配管工事費
- 電気工事費
- 現場管理費
- 諸経費
- 設計費
各費用は、グリストラップの種類や設置場所によって大きく変わります。屋内床置き型は比較的安価ですが、屋外埋設型は掘削作業が必要なため高額になる傾向があります。費用の内訳を理解することで、見積もりが高すぎないかの判断が可能です。
しかし、専門的な知識がないと各項目の適正価格を判断するのは難しいです。複数の業者から見積もりを取得し、比較検討しましょう。
見積もりを取得する際のポイント
グリストラップ設置の見積もりは、次のポイントを確認することが大切です。
- 工事内容の詳細
- 追加費用の有無
- 保証内容や期間
- アフターサービス
- 施工実績や評判
- 支払い条件
- 工期や作業時間帯
各費用を確認することで、価格の妥当性を判断できます。見積もり内容の不明点がある場合は、設置業者にしっかり聞くことが大切です。
費用を抑えるためのコツ
グリストラップの設置費用を抑える方法は、次のとおりです。
- 複数の業者から見積を取る
- DIYでできる部分は自分で行う
- 既存の設備を活用する
- アクセスしやすい場所に設置する
業者によって価格が異なるので、相見積もりをすることで最適な価格を見つけられます。DIYでできる部分に関しては、自分で行うことで費用を節約できます。既存の排水管を活用することやアクセスしやすい場所に設置することで、工事費用の削減が可能です。
季節や時期によっては工事費が安くなることもあります。さまざまな方法を組み合わせることで、グリストラップの設置費用を抑えられます。
補助金や助成金の活用
グリストラップの設置は、補助金や助成金を活用することで費用を抑えることが可能です。環境省や各自治体、金融機関などさまざまな機関が支援制度を設けているので該当する場合は活用しましょう。代表的な補助金や助成金は、次のとおりです。
- 環境省の補助金
- 自治体独自の制度
- 日本政策金融公庫の融資
- 中小企業庁の補助金
- 商工会議所・商工会の情報
補助金は、環境省だけでなく自治体によっても出ることがあります。日本政策金融公庫では、環境・エネルギー対策資金を活用することで、低金利での融資を受けられる可能性があります。各地域の商工会議所や商工会も、助成金情報を得られるので相談してみましょう。
各制度を活用することで、グリストラップ設置の費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。自分の店舗に適した支援制度を見つけ、申請手続きを進めましょう。
グリストラップ設置の流れ
グリストラップ設置の流れは、次のとおりです。
- 設置場所の選定
- 設置工事
- 設置後の確認事項
専門業者に相談しながら進めることで、スムーズな設置ができます。
設置場所の選定
グリストラップ本来の機能を発揮し、メンテナンスのしやすさを確保するためには、適切な場所に設置する必要があります。設置場所を選ぶ際に気をつけるポイントは、次のとおりです。
- 排水管の位置や配管経路
- 厨房内のスペース
- 清掃や点検のしやすさ
- 臭気対策のための換気設備との関係
- 建物の構造や床の強度
- 排水量や油分の量に適したサイズ
- 屋内か屋外かの設置環境
- 床置き型や埋設型かの設置方法
各要素を総合的に考慮し、最適な設置場所を選びましょう。法規制や条例に適合しているかの確認も忘れないようにしてください。適切な設置場所を選ぶことで、グリストラップの効果的な運用が可能になり、長期的な維持管理コストの削減にもつながります。専門家のアドバイスを受けながら、慎重に検討しましょう。
設置工事
グリストラップの設置工事の工程は、次のとおりです。
- 基礎工事
- 本体設置
- 配管工事
- 電気工事
- 防水処理
基礎工事では床の掘削やコンクリート打設を行い、本体設置ではグリストラップ本体の搬入と据え付けを行います。配管工事では排水管との接続や通気管の設置、電気工事ではポンプやセンサーの配線を行います。防水処理は漏水防止のために重要な工程です。
グリストラップ設置後は、床面の復旧やタイル張りなどの周辺工事が行われます。動作確認した後、清掃と片付けを済ませ、検査を受けたら引き渡しです。設置工事の期間は、グリストラップの種類や設置場所によって異なります。店舗の営業に影響が出る可能性もあるので、工事業者と綿密な打ち合わせを行いましょう。
設置後の確認事項
環境保護と法令遵守を確実に実現するために、設置が完了したら項目の確認をしましょう。確認する事項は、次のとおりです。
- 排水の流れが正常か
- 異臭がしないか
- 水漏れがないか
- 排水管との接続部分に問題がないか
- 浮上油や沈殿物が多くないか
- 排水基準を満たしているか
- 設置許可証や関連書類が保管されているか
確認を確実に行うことで、グリストラップの適切な運用が可能になります。
グリストラップのメンテナンス費用
グリストラップのメンテナンス費用は、3つに分かれます。
- 毎日の清掃費用
- 定期的なメンテナンス費用
- 業者による清掃の費用
自社での日常清掃と専門業者による定期清掃を組み合わせることで、衛生的な環境を保ちつつ、費用を抑えることが可能です。
毎日の清掃費用
グリストラップの毎日の清掃にかかる費用は、次のとおりです。
- 清掃の人件費
- 清掃用具の費用
- 廃棄物処理費用
- 消耗品費用
以上の費用に加え、清掃記録簿の管理にかかる時間と費用、従業員への清掃研修費用もかかります。適切な清掃を行うことで、グリストラップの寿命を延ばし、長期的にはコスト削減につながります。
定期的なメンテナンス費用
グリストラップの定期的なメンテナンスにより、設備の長寿命化と効率的な運用をすることが可能です。具体的な費用の内訳は、次のとおりです。
メンテンナンス箇所や清掃種類 | 費用の目安と頻度 |
バキューム清掃 | 1〜3万円(3〜6か月ごと) |
高圧洗浄 | 2〜5万円(1回/年) |
フィルター交換 | 5,000〜1万5,000円(年1〜2回) |
パッキン交換 | 3,000〜1万円(2〜3年に1回) |
配管洗浄 | 1万5,000〜4万円(年1回推奨) |
消臭剤や薬剤の補充 | 5,000〜1万円(月に1回) |
定期的なメンテナンスを行うことで、突発的な故障や不具合を防ぎ、長期的なコスト削減に繋がります。
業者による清掃の費用
グリストラップの業者による清掃費用は、一般的に10,000〜50,000円程度です。清掃費用は、グリストラップの規模や汚れの程度によって異なります。清掃作業は、堆積物の除去や洗浄、消臭、点検などが含まれ、作業時間は通常30分〜2時間程度かかります。清掃の頻度は、月1回〜年4回程度が一般的です。
定期契約を結ぶと割引が適用される場合もあるので、お得に利用できます。料金は地域や業者によって差があるため、複数の業者から見積もりを取って比較することがおすすめです。緊急対応や休日作業の場合は、割増料金が発生することがあるので注意が必要です。
グリストラップ設置に関するよくある質問
グリストラップの設置や管理に関するよくある質問をまとめました。
設置にかかる時間はどれくらい?
グリストラップの設置にかかる時間は、通常1〜3日程度です。設置にかかる時間が最も短いのは屋内床置き型で、半日〜1日程度で設置完了します。屋内埋設型は1〜2日程度、屋外埋設型は2〜3日程度かかります。設置時間に影響する要因は、次のとおりです。
- 店舗の営業状況
- 工事の複雑さ
- 事前の準備や調査の状況
設置時間を短縮するには、工事業者との綿密な打ち合わせが重要です。店舗の営業に影響が出る可能性もあるため、設置のタイミングは慎重に検討しましょう。
設置後にトラブルが発生したときはどうすればいい?
グリストラップ設置後にトラブルが発生した場合、迅速な対応が必要です。異臭や水の流れが悪くなったときは、詰まりや破損の可能性があります。専門業者に点検を依頼しましょう。油の分離が不十分な場合、グリストラップの容量不足や設計ミスが考えられます。設置したグリストラップの再検討が必要です。
設置直後の水漏れは、接続部分に不具合があるかもしれないので、施工業者に確認を依頼し、必要に応じて修理してもらいましょう。騒音や振動が気になる場合は、設置位置の調整や防振対策を検討する必要があります。専門家のアドバイスを受けて、最適な解決策を見つけましょう。
清掃で汚れが落ちない場合は、専用洗剤の使用や高圧洗浄を検討してください。トラブルを未然に防ぐためには、定期的な点検が重要です。分からないことがあれば、製造元や販売元のサポート窓口に相談しましょう。
まとめ
グリストラップの種類や設置費用の相場、選択時の考慮点、費用を抑えるポイント、設置の流れ、メンテナンス費用について解説しました。自社に最適なグリストラップを選択し、適切に設置・管理することで、環境保護と経営の両立ができます。
設置する際の費用の内訳をしっかり把握することで、思っていたより高額になってしまうことを避けられます。設置費用を抑えたい場合、複数の専門業者に相談しましょう。